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ビジュアルレビューマガジン

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色彩

和田三造が牽引した色彩調和論の結晶『配色辞典 応用編 大正・昭和の色彩と商品デザイン』三木学

配色事典 応用編 (青幻舎ビジュアル文庫シリーズ) 作者:和田三造 発売日: 2020/03/23 メディア: ペーパーバック 日本は柳田國男が「天然の禁色」と指摘したように、江戸時代までの日本は基本的には天然の染料・顔料を使って、絵画や織物などを制作しており、…

色をめぐるポリティクス「ランドセル・都知事・大統領選挙」三木学

www.j-cast.com togetter.comと 3月に「赤色のランドセルが欲しい」という男子を持つ母親の相談が質問投稿サイトに寄せられたこと対して、今月になってツイッターで広がり、ジェンダー論に発展している。 その背景に、最近ではランドセルもかなりの色のライ…

「スライドショーと音楽の新しい可能性-日本のビジュアルアーティストとPhotoMusicの試み-」三木学

www.value-press.com スライドショーは写真と動画の境界領域にあり、フィルム時代において表現ジャンルとして確立されていたとは言い難い。デジタル時代においても、ビジュアルアーティストにとって、スライドショーは取り残された課題である。しかし、新し…

アートと文化の虹のグラデーションを渡る旅-「あいちトリエンナーレ2016」三木学

メインビジュアルとなっているジェリー・グレッツィンガーの《Jerry's Map》を背景に、公式コンセプトブック『夢見る人のクロスロード』を持つ芸術監督の港千尋さん。 いよいよ「あいちトリエンナーレ2016」が開幕した。港千尋さんが2年前に芸術監督に就任し…

色彩が解く言語の謎-ブレント・バーリン、ポール・ケイ、日髙杏子訳『基本の色彩語』三木学

基本の色彩語: 普遍性と進化について (叢書・ウニベルシタス) 作者: ブレントバーリン,ポールケイ,Overton Brent Berlin,Paul Kay,日高杏子 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 2016/05/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 色彩学…

創造の旅の幕開け「あいちトリエンナーレ2016記者発表会」三木学

あいちトリエンナーレ2016記者発表会 壇上から説明する港千尋芸術監督 あいちトリエンナーレ2016 先日、国立国際美術館(大阪)であいちトリエンナーレ2016の記者発表会が開催された。記者発表会は、愛知、東京に続いて、3回目となる。現在、日本各地で開催…

知覚とメディアをまたぐ創造性「デヴィッド・ホックニーと共感覚」三木学

www.art-annual.jp matome.naver.jp gqjapan.jp 戦後現代アート史において、もっとも重要なアーティストの一人、デヴィッド・ホックニーの過去最大規模の回顧展が、2017年にテートブリテンで開催されるという。 デヴィッド・ホックニーは、イギリスのポップ…

ゴッホは色弱者か?「色弱者と画家」三木学

bigissue.jp 色弱が世界を変える カラーユニバーサルデザイン最前線 作者: 伊賀公一 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2011/04/19 メディア: 単行本 クリック: 27回 この商品を含むブログ (5件) を見る 現在販売されている、ビックイシューの特集が「異な…

なぜそこでシャッターを押したのか?「色景学に向けて」三木学

フランスの色景 -写真と色彩を巡る旅 作者: 港千尋,三木学 出版社/メーカー: 青幻舎 発売日: 2014/12/26 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 先日、心理学の分野で「身体化された認知」と呼ばれる、環境や感覚が無意識のうちに理性的な判…

五感が狂わす理性-タルマ・ローベル『赤を身につけるとなぜもてるのか?』三木学

赤を身につけるとなぜもてるのか? 作者: タルマローベル,Thalma Lobel,池村千秋 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/08/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 「身体化された認知」(エンボディード・コグニション)という、心理学に…

車は色で分けられるか?「車の塗料と質感」三木学

car-rider.jp 車の色別の販売台数については、各自動車メーカーから日本流行色協会(JAFCA)で集められ、統計がとられている。したがって、年代毎の人気色の推移もわかるようになっている。 とはいえ、日本における車の色は主に無彩色の黒、白、シルバーであ…

悲しみで色褪せて見える「悲しみの色の世界」三木学

top.tsite.jp 色を見ているのは、眼ではなく脳である。眼は光の情報を網膜を通して脳に送るが、それが色として認識されるのは脳の機能である。時に同じ画像を見ていても、まったく違う色として認識されることは、人によって黒・青と白・金の反対の色に見える…

見えない色を描く「中屋敷智生の描く想像の絵」三木学

《それは夢じゃないかもしれないかもしれない -This May Be No Dream,Maybe-》2014 Tomonari Nakayashiki 以前、谷本研くんと中村裕太さんの展覧会「タイルとホコラとツーリズム season2《こちら地蔵本準備室》」を見に行った際、谷本くんを囲んで話をしてい…

共感覚は原始か進化か?「共感覚とアーティスト」三木学

共感覚―もっとも奇妙な知覚世界 作者: ジョンハリソン,松尾香弥子 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 2006/05/20 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 46回 この商品を含むブログ (23件) を見る 前回、共感覚者とされているアーティストが、真正かどうか述…

色と共感覚「日本人の色彩感覚(3)」三木学

共感覚―もっとも奇妙な知覚世界 作者: ジョンハリソン,松尾香弥子 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 2006/05/20 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 46回 この商品を含むブログ (23件) を見る 色彩学がその初期から、音楽のアナロジーやメタファーで発達…

色立体の普遍性と限界・色感と質感「日本人の色彩感覚(2)」三木学

フランスの色景 -写真と色彩を巡る旅 作者: 港千尋,三木学 出版社/メーカー: 青幻舎 発売日: 2014/12/26 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 正直に言って、日本人のアーティスト、デザイナー、ファッションデザイナー、建築家など、あら…

色感と質感は並立するのか?「日本人の色彩感覚」三木学

フランスの色景 -写真と色彩を巡る旅 作者: 港千尋,三木学 出版社/メーカー: 青幻舎 発売日: 2014/12/26 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 港千尋さんとの共著『フランスの色景』(青幻舎)を上梓してから半年以上経た。いろいろな意見…

「サプール」出版の反響とインサイドストーリー『SAPEURS - Gentlemen of Bacongo』三木学

SAPEURS - Gentlemen of Bacongo 作者: Daniele Tamagni 出版社/メーカー: 青幻舎 発売日: 2015/06/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (3件) を見る 昨日、青幻舎の安田洋子さんとお話する機会があり、今話題の『SAPEURS(サプール…

黒は好かれているのか、嫌われているのか?「黒のイメージ」三木学

www.fashionsnap.com 色彩の嗜好調査の歴史は結構長い。20世紀初頭から色彩嗜好調査はあるようだが、統計的に分析されるようになったのは戦後のことである。 ある程度、普遍的に好まれる色もあるが、大きく変化する色もある。特に青と赤は、国際的に好まれる…

レンズによる新しい色彩「ボケ混色と写真」三木学

昨日、わざとピントをずらすことによる、近眼写真をご紹介した。思いのほか賛同者が多かった?ので、手法は近いが、新しい色彩写真の試みを紹介したい。 最近は、特にアートと写真が接近したのか、スナップ写真が肖像権や著作権が厳しくなり、撮影しにくくな…

日本人の身体と踊りの原風景「阿波踊りに残る日本人の身体技法」三木学

阿波おどり|放送予定|www.nhk.or.jp 徳島市:阿波おどり よさこい祭りに引き続き、昨日はNHKBSで徳島の阿波踊りの特集がやっていたので、思わず見てしまった。実は、親戚が徳島にいるので、一度だけ生の阿波踊りを現地で見たことがある。観覧席のあるメイ…

進化し続ける現代の祭り「よさこい祭りとその系譜」三木学

よさこい祭りサウンドトラック2007 アーティスト: 雑音軒,山岡修一,堀麻夫,アイリーン・フォーリーン,三谷章一,野瀬眞誠,平岩嘉信,梅田修平,村田博久,浜田善久,下元博司 出版社/メーカー: よさこいサウンドLLP 発売日: 2008/08/08 メディア: CD クリック: 32…

染料の中の染料と日本「藍と紅」三木学

(C)Manabu Miki 過去の記事で、藍と紅という、代表的な染料の分布を分析したので、まとめて掲載しておこう。 紅の物語-染色と女性の成長『おもひでぽろぽろ』三木学 - shadowtimesβshadowtimes.hatenablog.com 「ジャパンブルーの起源」三木学 - shadowti…

紅の物語-染色と女性の成長『おもひでぽろぽろ』三木学

おもひでぽろぽろ [DVD] 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 発売日: 2015/03/18 メディア: DVD この商品を含むブログ (4件) を見る 今や夏休み恒例のスタジオジブリ制作のアニメーション映画が、毎週金曜日にやっている。先週は『お…

バサラカワイイ!風流・婆娑羅・傾奇との融合「増田セバスチャンとよさこい祭り(高知)」三木学

www.youtube.com よさこい祭りとは 先日、きゃりーぱみゅぱみゅの「PONPONPON」PVの美術などで知られ、原宿kawaii文化を牽引するアートディレクター増田セバスチャン氏にお会いしたとき、高知の「よさこい祭り」のことを紹介して頂いた。「よさこい」と言え…

赤に性欲を覚えるわけ「赤い色と色覚の謎」三木学

人はなぜか「赤い色の異性」とSEXしたくなる | オリジナル | 東洋経済オンラインtoyokeizai.net 欧米の科学ジャーナルに、「赤色」に関する論文が続々と発表され、「赤を身につけた異性とセックスしたくなる」という研究結果が出ているという。人の感情や行動…

萌え、侘び・寂び、粋「五輪エンブレムと五輪招致エンブレムに見る美意識」三木学

東京五輪エンブレムは、その内容から盗作問題へと移行して、本質的な議論ができなくなっているが、評判の良かった五輪招致エンブレムと比較して、そこに含まれる日本の美意識について色彩的な観点から考察したい。

新しい色名を作る意味。アヤナミブルーは何色か?「アヤナミブルー」三木学

<a href="http://www.fashionsnap.com/news/2015-07-27/ayanamiblue/" data-mce-href="http://www.fashionsnap.com/news/2015-07-27/ayanamiblue/">綾波レイの色「アヤナミブルー」登場 ターナー色彩が開発</a>www.fashionsnap.com ターナー色彩が、エヴァンゲリオン20周年を記念して、メインキャラクターの一人である綾波レイをイメージした新色「アヤナミブルー」を発表して話題になっている。アヤナミブルー…

カワイイブームの先駆け-濱田信義『大正着物』三木学

大正着物 作者: 浜田信義 出版社/メーカー: パイインターナショナル 発売日: 2015/03/24 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 明治以降、日本人は元号と西暦の二つの時間を生きているといってよい。正確には太陰暦から太陽暦に変わっており…

街の中からデザインを発見する-ロブ・フォーブス「ものの見方」三木学

<a href="https://www.ted.com/talks/rob_forbes_on_ways_of_seeing?language=ja#t-529593" data-mce-href="https://www.ted.com/talks/rob_forbes_on_ways_of_seeing?language=ja#t-529593">ものの見方</a>www.ted.com 写真を撮影する目的はたくさんある。記念写真や報道写真、民族学や工事のための調査の写真、最近ではSNSで友達と共有するための写真など、写真という道具は、あらゆるジャンル、あらゆる階層、あらゆる年齢の人が使…