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「もう一つのセンサー」三木学

news.biglobe.ne.jp

人によってまったく違う配色に見えるドレスは、インターネットを通じて、世界の人々に人間の脳が色を補正しているという事実を教えることになった。今回は、色の補正以前に、センサー自体が人によって違うのだ、という話である。

人間の網膜には、3つの色を感受する錐体細胞があると言われている。L錐体(赤錐体)、M錐体(緑錐体)、S錐体(青錐体)の3つである。この3つの錐体は、それぞれ感度のピークがあり、可視光線の波長が380nm~780nmとして、L錐体は565nm付近、M錐体は545nm付近、S錐体が440nm付近とされている。この3つの錐体が可視光線の白色光を分解して、人間に色を感じさせている。

 そして、この3つの錐体が正常に働いていない場合、色覚異常とされ、一般的に色弱と言われるのは、いずれかの錐体の働きが悪い場合で異常3色型色覚という。またいずれかの錐体がまったく働いていない場合2色型、2つの錐体が働いてない場合は1色型という。

今回話題となっている、4色型色覚というのは、もう一つ紫外線などの短波長も感知できる錐体があることであるが爬虫類や鳥類は4色型色覚を持つものもある。それがごくわずかな人にも4色型色覚がいるという報告がある。

 ただ、この画像をすべて見分けられれば、4色型色覚というのはかなり怪しい情報に思える。ニューロマーケティングは、近年の脳の活動部位を調査することで、顧客の気付かない関心を発見する手法である。だが、この画像がどのような根拠で作られたのかはわからない。

色彩分析でみてみると、どうやらHSVというPhotoshopなどで使われているRGBを色相、明度、彩度に変換する色空間を使っているようだ。HSVの色相・彩度図で見ると、色相と彩度が一定のリングが出来上がる。ただし、マゼンタあたりは存在しない。

 しかし、人間の見えに概ね比例するように制作されたマンセル表色系の色空間で見ると、かなり歪んでしまい、波長によって色の感受性が全然異なるので、コンピュータで機械的に制作したカラーチャートが色の識別に向いているとは思えない。

 また、少なくとも4色型色覚かどうか確認するためには、紫から紫より短い波長を出して知覚できるかどうか調べるべきだろう。この画像が擬似科学的なものかどうかまだわからないが、色の知覚は脳の処理も含めてまだ謎が多いのは確かで、今後、脳科学の発展によりもっとはっきりとしたことがわかってくるだろう。

 

 

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HSV色空間 色相・彩度図

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 マンセル表色系の色空間 色相・彩度図

 

港千尋さんが撮影したフランスの日常風景を色彩分析して、配色の法則を解読した本です。配色のヒントや日仏の色彩感覚の違いを知りたい人におススメです。

フランスの色景 -写真と色彩を巡る旅

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 参考文献

 

色彩科学入門 ―カラーコーディネーターのための

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