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「青の革命 」三木学

 

青の歴史

青の歴史

 

 フランス人の一番好きな色は青色であることはよく知られている。しかしながら、青は多くの国や民族、地域で好かれている色でもあるのでフランスだけが好きな色ではない。日本でもかつては白が一番好きな色であったが最近では青色がトップである。しかし、フランス人の2人に1人は青が好きだという調査もあるので、青の好かれ方は特別かもしれない。


ただし、12世紀頃までは青や緑(青と緑はかなり未分化であった)は特段好かれた色でないばかりか、ケルトやゲルマンなど異民族やアジア人が使用する色としてどちらかと言うと排除されており、語彙に関してもほとんど存在しなかった。

それが、赤などに比べてはるかに難しい青の染色技術の向上や、ステンドグラスの発展など(これはゴシック教会など建築技術の高度化と連動していると思われる)によって青は急速に重要な位置を占めるようになり、中世の紋章においても赤や白に次いで、多くの青が使われるようになる。青は、聖母マリアの色になり、王家の色の一つにもなっていく。

紋章学者のミシェル・パストゥローはそれらの経緯を丹念に調べ、青が短い期間に革命的に地位を向上させていく歴史を、『青の歴史』という本にまとめた。その青の地位向上の歴史の延長線上に、フランスの国旗である、トリコロールはある。

Wikipediaには、「青は自由、白は平等、赤は博愛(友愛)を表すというがそれは俗説である。正式には白がフランス王家の色、青と赤はパリ市の紋章の色であり、三色が合わさり、パリと王家との和解の意味を表している。赤と青はフランス革命軍が帽子に付けた帽章の色に由来し、白はブルボン朝の象徴である白百合に由来する。」とある。

フランスの国旗は、自分たちが共和制を勝ち取ったシンボルでもあり、多くの革命国家のモデルにもなっていく。彼らの国旗に対する思いは、歴史を辿らないとわかってこないだろう。

フランス全土で、350万人を超えるデモや多くの国々で掲げられるトリコロールは、非常に象徴的である。人類の色彩利用の歴史において、赤、白、青ほど、力強く、皆が好み、連帯を連想させる配色もないだろう。