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「極度乾燥(しなさい)-誤用と形のデザイン」三木学

matome.naver.jp

現在、世界のセレブにも人気があるという、SuperDryというイギリス発のファッションブランドだが、間違った日本語の使い方で話題になっている。そもそもビールの「スーパードライ」がブランド名の由来ということなので、誤用が生んだ誤用といえるかもしれない。

 

日本でも、英語のネイティブから見たらトンデモない文章が書かれた服はたくさんあるだろう。それは、形がカッコいいから採用されたにすぎず、意味などもともと考えていないからだ。以前から、刺青に入れる変な日本語は話題になっていたが、ついにファッションにも転移したというわけだ。それ以前に、倒産してしまったデザイナーズリパブリックなどもカタカタを換骨奪胎して利用していたので、その兆候はあったのかもしれない。

 

www.albatro.jp

日本語は、特殊な言語だと言えば、そんなことはない、と否定する人もいるだろう。しかし、少なくとも、漢字圏の文化の中でも、一つの文章の中に漢字、カタカナ、ひらがな、アルファベットなどを詰め込んでも意味が通じるという意味では、柔軟度の高い言葉だといえるだろう。他にそのような例がほとんどないからだ。

 

にもかかわらず、同音異義語が多いことが他言語を母語としている人の日本語の習得や翻訳を困難にしている。話せることはできても、文字を書けるようになるのは相当難しいことは容易に想像できる。

 

また、デザイナーにすれば、アルファベットや漢字のみで文字組できる言葉に比べて、複数の文字を組み合わせて体裁を整えなければならず、最もデザインの難易度の高い言葉だといえるかもしれない。

 

日本語は日本文化のように、過去の文化を捨てないところに特徴がある。漢字、カタカナ、ひらがな、アルファベット、発音でも漢音、呉音など、本来ならばどこかで整理するか統一したいという機運も高まるのかもしれないが、日本語は流入する言葉をしなやかに取り込んできた。もちろん、梅棹忠夫の推進した日本語ローマ字表記など、幾つか日本語の文字表記を統一しようという運動はあったがどれも成功していない。韓国ではハングル語に統一することになっことを思えば不可能ではなかったかもしれない。しかし、日本語はつぎはぎをしながら、あくまで多数の文字を取り入れる道を選んだということになる。

 

それにはメリットもあるしデメリットもあるだろう。しかし、漫画やアニメなどが海外でポピューラーになった結果、日本語のユニークさに他言語の人々が気付くことになった。SuperDryもその系譜にあるのかもしれないが、誤用の在り方が現在的だ。

 

彼らはデザインをするとき、Google翻訳で英語から日本語にする。そして、そこからデザイン的に面白いものを選んでいる。知っての通り、Google翻訳はまだまだ精度が高いとは言えない。特に日本語の翻訳は難しいが、その難しさがかえって面白い効果を生んでいるところが興味深い。もし、Google翻訳の精度が完璧になったら(道のりは長いと思うが)、日本語を母語とする人にとっても意外性のないものになってしまうかもしれない。

 

このような異文化の誤解や誤用は、今までの歴史でもたくさんあったのだろうが、今日のように、海外旅行者が増え、多くの情報を一瞬にして共有できる時代になっても、このような現象が起こることは面白い。日本語の可能性を誤用とデザインから見出すということは、我々にとって彼らが見出した形の価値を発見することにもなるだろう。言語はそういう意味でも、まだまだ可能性のある大地である。

 

参考文献

増補 日本語が亡びるとき: 英語の世紀の中で (ちくま文庫 み 25-4)

増補 日本語が亡びるとき: 英語の世紀の中で (ちくま文庫 み 25-4)

 

 

文字の霊力 (杉浦康平 デザインの言葉)

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