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ビジュアルレビューマガジン

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沈昭良『STAGE』三木学

写真 アート

blog.livedoor.jp

沈昭良官方網頁

 

先日、美術史家で写真、メディア・アート研究の第一人者でもある、伊藤俊治さんにお会いしたとき、台湾の写真家、沈昭良さんの作品集『STAGE』を紹介いただいた。台湾の移動舞台車を撮影した写真集で、世界的に評価を受けているとのこと。

 

ヨコハマトリエンナーレ2014や現在行われている、京都国際現代芸術祭PARASOPHIAに、出品されているやなぎみわさんの移動舞台車は、まさにこの移動舞台車を台湾に発注して、デコレーションを施したものである。台湾でしか製作ができない特殊な車だからだ。やなぎさんは、かつて台北ビエンナーレのオープニングでこの移動舞台車に出会い、友人でもある沈昭良さんの写真で「再会」したことをきっかけに、移動舞台車で旅公演をしたい思いを抱いていたらしい。

 

この移動舞台車は、主に台湾の南西部において、1970年代前後から冠婚葬祭などで、歌やダンスなどを披露する演芸団、台湾綜芸団が公演するための舞台として製作されたそうである。しかし、今日ではカラオケやポールダンス、選挙運動など多様な用途で使われており、台湾の庶民文化に溶け込んでいるとのこと。

 

 沈昭良さんは、日本に留学していたこともあり、日本とも親交が深く、築地市場を題材にした写真集も制作している。フォトシティさがみはら2004において、さがみはら写真アジア賞を受賞しており、伊藤さんはそのときの審査委員だったそうだ。新聞社に在籍していたこともあり、テクニックのある写真家とのことだが、特にこの『STAGE』の撮影プロジェクトはかなり難度が高かったとのこと。

 

現在、台湾に存在する移動舞台車は600台~700台ほどで、そのうちの120台を写真集にまとめた。伊藤さんは「逢魔が時」と表現していたが、街の細部と照明が光る移動舞台車の両方を捉えることができる、日が沈むわずなか時間を狙って撮影されており、まさにこの世とあの世をつなぐような不思議な存在感を示している。

 

デコトラと共通性はあるが日本の場合、舞台装置と結びついてるわけではない。台湾の庶民文化と現代文明が結びついた興味深い被写体であり、移動することと、冠婚葬祭などのための演芸という習慣性と刹那性、街と移動舞台車の瞬間的な出会いを「逢魔が時」を狙って上手く表現しているといえる。やなぎさんの移動舞台車も、今後、日本各地を回るようなので、日本でどのように受け入れられるか興味深い。

 

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