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「レゴと緑」三木学

news.livedoor.com

カラフルな原色で構成されている、レゴブロックに緑が少ないのは、緑が多くなると子供たちが兵器を作るからだ、ということが話題になった。その後、緑はそこまで少なくないとなったようだが、「戦争を子供のおもちゃにしない」という哲学は本当のようである。

 

 

「緑が多くなると子供たちは兵器を作るのか?」と疑問に思う人も多いだろう。おそらく、日本の子供たちに実験してもそうはならないかもしれない。緑=兵器の色と連想するのは、戦車やヘリコプター、一部軍服などに使われているミリタリー・グリーンのことを指しているのだろう。ミリタリー・グリーンは、明度・彩度の低い黄緑だが、基本的には迷彩服のような、カモフラージュのための色であろうと思う。また、以前、書いたことであるが、中世ヨーロッパ人が緑を怪物の色として恐れた経緯があり、それが今日の文化にも影響を与えている例があるように、緑に対する負のイメージもあるかもしれない。

 

ミリタリー・グリーンを日本人に見せたら、緑だとは言わないだろう。日本の慣用色名では草色、洋名ではオリーブグリーンといったところだろうか?日本人が緑と感じるのは、もっと緑よりである。

 

アメリカの子供が、どのような緑なら、戦車やヘリコプターを作るのかわからないが、緑のカテゴリーの範囲が、日本とアメリカでは違う可能性も高い。色と認識の問題は、子供の知覚や玩具にも影響を与えている事例ではあるだろう。

 

参考文献

 

色で読む中世ヨーロッパ (講談社選書メチエ)

色で読む中世ヨーロッパ (講談社選書メチエ)

 

 

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