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ビジュアルレビューマガジン

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会期残りわずか!今年最高の国際美術展(かもしれない)「堂島ビエンナーレ2015」三木学

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池田亮司《date.tecuture》2015

togetter.com

 

堂島ビエンナーレ2015の評判がいい。大阪の都心部にあり、分散しないで一箇所で見れる上、イギリス出身のインディペンデント・キュレーター&ライター、Tom Trevor (トム・トレバー)のキュレーションが冴えている。

 

「Take Me To The River―同時代性の潮流」と銘打たれたテーマに沿って、選び抜かれた15組のアーティストの作品が、川の流れのように相互干渉し合い、新たな波を生んでいる。

 

特に注目すべきは、池田亮司の約22mx11mに及ぶ巨大プロジェクションによるインスタレーションである。床に投影された巨大映像と空間を取り込む爆音の電子的ノイズは、猛烈なデータのトラフィックで我々を取り巻くデジタル・ネットワーク社会を象徴するように知覚のレベルを超えていく。

Ryoji Ikeda | DOJIMA RIVER BIENNALE


そして、ベネチア・ビエンナーレのドイツ館の代表アーティストでもあるヒト・スタヤルは世界的評価もうなぎのぼりであり、今回、出品している映像と鑑賞装置のインスタレーションは、新しい時代の現代アートを体感できるだろう。ベトナム戦争で孤児になったアメリカ移民を題材に、総合格闘技、アジアの天候、ハリケーンなどの無数の虚構と現実の映像のカット&リミックス、反復される映像は、サブリミナルの効果をともなって、我々の立ち位置自体に揺らぎを与える。なんでもあり、の総合格闘技のシーンは、まさに我々が置かれているアートや社会の状況に酷似している。

Hito Steyerl | DOJIMA RIVER BIENNALE


さらに、フェルメール&エイルマンスは、かつて美術館という制度自体が担保していたアートの価値を、今日ではマーケットがその価値を担保しているという認識の元に、自分たちの住まい自体を美術作品としてマーケットに取り入れる《ART HOUSE INDEX(AHI-)》や、新作《MASQUERADE》によって、マーケットにおいてアートが取引され、価値化される状況を、アートマーケットを構成する多くの虚構の人物を登場させ、ドキュメンタリーの体裁をとりつつ明らかにしていく。

Vermeir & Heiremans | DOJIMA RIVER BIENNALE

 

この3組のアーティストの作品が展覧会のテーマの骨格になっているといってもよい。実際、展覧会の構成は、地下1階にヒト・スタヤル、1階に池田亮司、4階にフェルメール&エイルマンスの作品をそれぞれ一番大きい空間に置いている。(2Fはホールを取り巻く細い空間、3Fの展示はない)

 

キュレーターのTom Trevor (トム・トレバー)は、ダミアン・ハーストを代表とするYBAs(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)と言われた世代にあたり、当人もゴールドスミス・カレッジでアーティストとしてキャリアをスタートさせたらしい。現在は、キュレーター、ライターとして活躍しているようだが、その力量は展覧会を見れば一目瞭然だろう。

 

現代アートに馴染みがない人も、現代アートのファンも楽しめる本格的な展覧会であることは間違いない。小難しくて抵抗感があるという人にも是非見て欲しい。会期は残りわずか。(8月30日まで)少しでも興味のある人は見逃さないようにして頂きたい。

 

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