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ビジュアルレビューマガジン

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コミュニケーションの分断と拘束のメディア「電話の歴史」三木学

時評

news.livedoor.com

 

ヨルタモリで、電話及び電話をする人に対しての不信感について持論を述べていたタモリですが、僕もそれについては昔からそうだと思っていました。

 

特にこれは携帯電話が登場してからの話で、相手の状況がわからないままで、間に人を通さず、直接個人に連絡がとれる手段ができたのは画期的だったのです。もちろん、手紙、文通などというもっと古典的なメディアはありましたが、手紙を読むのは相手の都合で可能ですし、もっとコミュニケーションに時間がかかりますよね…。

 

昭和が長い人間ならすぐ思いあたるのですが、よく言われるエピソードとして、好きな子に電話するために、家に電話しなければならず、電話をかけるかかけまいか、かけた後にお父さんが出てきたらどうするか悩んだ経験は男の子なら誰でもあります。たぶん。

 

昔は、電話は一家に一台しかありませんでした。もちろん、もっと遡れば、公共施設にしかなかったわけですが、戦後なら一家に一台の時代が長かったと思います。

 

家の中で電話が置かれた場所を考えればわかるのですが、たいていの家は玄関に近いところにありました。今でも「サザエさん」「ドラえもん」など、昭和のアニメにその痕跡がありますね。「ちびまる子ちゃん」はどうなのでしょうか?この辺まではまだ一家に一台な気がします。

 

それはどういうことかというと、電話は玄関から家族以外の他人が訪問することと同じ意味をもっていたということです。だから、一家を代表して電話をとるわけです。それは、他人から子供を守るという意味合いも当然あるわけで、娘のいるお父さんが、男の子をビビらせるというのも必要な役割だったわけです。つまり、それは家族という免疫システムが機能していた証拠でもわるわけです。

 

ところが、携帯電話というのは、個人間で直接やりとりできるので、当然、家族の免疫システムを逃れて侵入してしまいます。それによって、子供たちが、危険な友達や他人と直接コミュニケーションをとれるようになり、実際、それによって事件に巻き込まれることは現在でもたくさん起きています。

 

携帯電話が普及するとき、バチカンが声明を出したということを聞いたことがあります。携帯電話は家族を崩壊させるので、制限(禁止だったかも?)しなければならない、と。さすがに、家族の絆を重要視するバチカンは、携帯電話の弊害について正確に予想していたというわけです。

 

携帯電話のコミュニケーションのあり方は、言うなれば、相手の都合に関係なく、「おい!」と後ろから呼びかけるようなものです。とても不躾で失礼なメディアであるのは間違いなく、タモリの言うとうりだと思います。

 

そして、時は流れて、スマートフォンなる電話もどきが普及し、直接コミュニケーションはより複雑化しています。スマートフォンのアプリ上で、友達同士は拘束され、虐めも多発しています。もちろん、子供が危険な第三者と接触する比率も高まっています。

 

スマートフォンが普及するときバチカンが声明を出したかどうかは知りませんが、家族の結束を解体する新たな機械に進化しています。もちろん、家族同士がLINEなどでやりとりすることも増えているので、新しいつながりも増えているのは確かです。

 

そして、僕たちが実際、会っているときも、それぞれが常にスマートフォンを気にしており、それぞれ心ここにあらず、という状態が多くなっています。電話は今や家族の結束を分断し、人々のコミュニケーションを分断し、見ず知らずの人々との出会いを加速しているといってもいいでしょう。同時に、常に閉じられたコミュニティを拘束するという二極化が進んでいるのです。

 

家族に電話が1台という時代は、物理的な空間と電話は似た関係であり、とてもシンプルでした。その時代はもう戻ってこないので、新しい家族のコミュニケーションに役立て、危険な第三者から身を守り、閉じたコミュニティでの虐めなどを防止する工夫をしていくしかないでしょう。それが時の流れというものです。

 

ちなみに、ポケットベルという携帯電話が普及する前に流行した通信機器がありました。現在でも電波帯や文字を送る機能の特性を利用して、防災や文字放送に使っているとか。我々の世代は、裕木奈江のドラマ「ポケベルが鳴らなくて」と記憶が完全にリンクしているという珍しい通信機器です。

 

ちなみに、個人的な経験として、以下のタイプで仕事ができる人に会ったことがありません。

1、とりあえず会いたいと言ってくる人。
2、電話を頻繁にしてくる人。

逆に、メールで内容を簡潔に書いてくる人は、とても仕事ができるしスムーズにいくケースが多かったです。まあ、その理由は、相手に頼みたい内容がはっきりしており、言語化できているからでしょう。

ただ会いたいと言ってくる人や、電話を頻繁にしてくる人は、こちらが側に自分のしたいことの内容の整理を求めている場合が多いからです。

あくまで会社での経験なので、完全に一般化できるとは思いませんが、一度会って信頼ができていれば、直接会う回数は少なくてすむとは思いますがどうなんでしょうね。

 

関連文献

 

第三の眼―デジタル時代の想像力 (広済堂ライブラリー)

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新編 第三の眼―デジタル時代の想像力

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