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コンテンツビジネスからファンクラブビジネスへ「労働と創造の未来」三木学

 

www.itmedia.co.jp

 

先日、野村総研(NRI)がオックスフォード大学と共同研究をして、10年~20年後、国内労働人口の49%に当たる職業が、コンピュータや人工知能に代替される可能性があるという研究結果を発表して話題となった。

 

逆に代替可能性が少ない職業には医師や研究者などとともに、クリエイターが目立つ。つまり、人為的な作業が必要不可欠で、創造的な仕事は、ロボットや人工知能には代替されにくいということになる。

 

この研究自体が、コンピューターのアルゴリズムによって導き出されたことは皮肉なことである。すでに、イギリスやアメリカにおける職業研究において近い結果が発表され、話題となっていた。研究者、医者、クリエーターも、今後、コンピュータを用いない職業はなく、人為的な作業も、コンピューターやロボットに代替されなくても、使いこなすことは必要不可欠になるだろう。現在でもすでにそういう状況になりつつある。

 

少し気になるのは、クリエイターの職業は本当になくならないのか?ということである。すでに日本においては、少子高齢化し、インターンネットの普及によって、情報は無料同然となり、雑誌は次々廃刊し、出版社は毎年潰れているし、レコード会社はCDや音楽配信では成り立たず、ライブビジネスへと移行している。10年後はますますその状況は進み、コンテンツビジネスの形もすっかり変わっていることが予想される。

 

大きく言えるのは、コンテンツビジネスにおいて、中間業態はなくなるだろうということである。いわゆる出版社、レコード会社など、複数の著者やアーティストと読者や視聴者との間に立ち、利益を出すようなモデルは大きく変容するに違いない。その中間業態は、アマゾンやAppleなどのプラットフォーマ-たちに代替され、クリエイターは今後ますます直接的にファンとやりとりするようになるだろう。

 

今でも90年代のレコードバブル期にミリオンセラーをヒットしたバンドやミュージシャンはほとんど新曲を出さず、テレビにも出ず、その時に得たファンクラブを運営することで生活しているケースが多い。そうなれば、もはや新規にファンを獲得するという意図がなければ、テレビに出る必要もなければ、レコードを出す必要もない。

 

2000年代のインターネットやIT技術は、コンテンツビジネスに何をもたらしたかというと、中間業態の徹底的な破壊であったとえいるだろう。そして、クリエイターはファンと直接的に結びつき、収益を上げる仕組みを容易に作れるようになった。その道は、険しいかもしれないが、ファンにとれば、中間業態に利益が流れるよりも、すべての対価がクリエーターに還元される方を選ぶだろう。一時再び流行した課金制のメルマガもその一種だといえる。

 

それが進んだとき、現在のような形のクリエイターは変質し、カリスマ的な訴求力を持つクリエイターと、その情報発信をサポートする準クリエイター(例えば、編集者やデザイナー、カメラマンなど)、マネージャーという体制に変わっていくだろう。それはまさに、ファンクラブビジネスの進化形だといってもよい。その際、現在の既存のコンテンツビジネスよりも、圧倒的に少ない人数で運営可能になるので、かなりの人々が淘汰される可能性が高い。

 

この研究は、将来世代が職業を考える上で、非常に重要な示唆を与えていると思うが、代替不能とされている職業の形自体が大きく変容すると考えた方がいいだろう。そのための職業訓練はどのようなものがいいか、と問われると、変化が早すぎて心もとないが、まずは自分が0から1を生み出せるクリエイターであるかどうか、という判断をすること、そうでなければ、そのクリエイターをサポートできる技能の中でどれが自分に一番合っているか考えることが先決だろう。

 

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