「デジタル化できないコンテンツとしてのアート」三木学
アマゾンのカテゴリに、ファインアートが追加されて、1ヶ月ほど経とうとしている。アマゾンのアメリカ版にはすでに2013年にファインアートが販売されており、日本に来るのは時間の問題と思われていた。約2年で日本でも体制が整ったということになる。
この方向性には2つ考えられる。実はコンテンツビジネスの市場は、すでに映画や音楽をおさえてアートが一番大きくなりつつある。それはとりもなおさず、デジタル化が進んだ結果、コピーできるコンテンツが縮小してしまったからだ。その結果、コピーできないコンテンツであるアートが一番大きい市場になってしまったというわけだ。
もちろん、アートが投機の市場として注目されるようになり、オークションで高値で売買されるようになったという経緯もある。なかでもすでに評価の定まった著名な作家の取引は目をむくほど高い。1点数億もする作品が、市場規模を押し上げているのだ。
しかし、若手アーティストについても、海外においては高額で売買され始めている。アマゾンがその機運を見逃すはずはない。少なくとも、アメリカにおけるアマゾンのファインアートは好調ということだろう。
日本においても、アマゾンによって厳選されたギャラリーが、作品を出品しているが、この動きがあまり売買する習慣のない日本のアート市場をどこまで活性化させるのか注目である。特に、海外でも評価の高まっている、写真を使った作品は価格が手ごろだということもあり、これから期待できるだろう。多くのアーティスト、写真家が正当に評価され、報酬を受け取れる環境が整うことに期待したい。