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レンズによる新しい色彩「ボケ混色と写真」三木学

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昨日、わざとピントをずらすことによる、近眼写真をご紹介した。思いのほか賛同者が多かった?ので、手法は近いが、新しい色彩写真の試みを紹介したい。

 

最近は、特にアートと写真が接近したのか、スナップ写真が肖像権や著作権が厳しくなり、撮影しにくくなったのか、抽象的な写真が多いように思う。具象から抽象に移行する流れは、20世紀の絵画をなぞっているようにも思える。

 

特に印象派の様々な色彩の実験は、絵画の抽象化の流れに影響を与えている。特に、色彩学の理論であった補色や対比による色彩の強調や、点描によって加法混色を起こす理論は、多くの印象派、新印象派、ポスト印象派の画家が取り入れた。

 

赤、緑、青の3原色や混色理論は19世紀には、すでに発見されており、20世紀には3つの混合比率によって人間の見えるあらゆる色を再現できるようになった。ただ、それは色光による3原色であり、混色である。

 

塗料など反射光で見るものは、シアン、イエロー、マゼンタ、による色材の3原色による減法混色によって色を作る。減法混色が色を混ぜていくと、黒に近づくのに対して、加法混色は白光に近づいていく。

 

簡単に言えば、色材(物質)の色は混ぜると黒くなり、色(光)は混ぜると白くなるということである。絵具は混ぜると黒くなるが、コンピュータの色は混ぜると白くなる。写真は、フィルムの時代は減法混色であったが、デジタルカメラは加法混色である。

 

加法混色には、大きく分けて、同時加法混色、継時加法混色、中間混色の3種類ある。同時は複数の光を同時に投射する。継時加法混色は、交互に異なる色の光を投射する。中間混色は、色光自体が混ざるのではなく、人間の視覚の中で起こる現象である。

 

中間混色には、回転混色と併置混色の2種類ある。回転混色は、円盤に色分けして回転させると、色が混ざって見える現象であるが、明るさは円盤に色分けされた複数の色の明るさの中間に見える。併置混色は、細かく横に色を併置することで、色が混ざって見える現象で、こちらも中間の明るさになる。スーラなどの点描や印刷、テレビなど幅広く併置加法混色が使われている。

 

だらだら混色の原理について書いてしまったが、レンズによるボケ(アウトフォーカス)によって、反射光で混色できるのではないか?ということで、ボケ混色というのを考えてみた。

 

このピントをボカすことによって、混色が起こる原理は、結局、何混色になるのだろうか?物質を撮影しているので、光源ではなく反射光なのだが、光を混ぜているのでやはり加法混色ということになるのだろうか?

 

勉強不足でよくわかってないのだが、いい感じでボケると、抽象画のようで楽しいし、近眼写真の延長線上にもあると思う。

 

ということで、この写真を、ボケ混色写真と一応、名付けておきたいと思う。

 

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染色みたいに見えませんか?ボケ混色写真、別名、写真染色とでも名付けたいです。