出版から物販へ「これからの出版社の形」三木学
宝島社が、伊藤忠商事と組んで、服飾雑貨事業に参入することが報道された。ここ数年で、出版社の形は急速に変わろうとしている。KADOKAWAがネット会社のDOWANGOと経営統合され、カドカワ株式会社になったニュースも記憶に新しい。
KADOKAWA・DWANGO、「カドカワ株式会社」に社名変更 - ITmedia ニュース
出版社はすでに古典的な本を売ることを継続するのは難しくなってきている。雑誌や書籍の売上は年々減り、書店の廃業や出版社の倒産は毎年のように報道されている。その理由はやはり、インターネットの新しい業態が増えたことによる。
その中で、積極的にコンテンツ自体をネットに合わせていく業態と、服飾や雑貨などの物品に合わせていく業態の二つの方向が見えてきている。カドカワ株式会社は前者の方である。
後者の方も、すでに10年ほど前から、女性誌において、完成度の高い付録をつける形態がブームになっていた。それはもはや付録がメイン、雑誌が付録という転倒した状態であったといえる。また、雑誌がカタログ化し、出版社が直接、通信販売を手掛ける例も増えていた。
本の持っていたブランドやコンテンツの価値は、紙を離れて、情報と物質に二極化していっていたといえる。そして、その次の出版社の形が輪郭を帯び始めているといえる。
紙の本がなくなることはないだろう。しかし、本だけが独立した価値を持つ時代はすでに過ぎつつある。本を超えて、情報はネットや物品を自由に行き来している。コンテンツは容器を超えいく。出版社の形は、紙ではなく、コンテンツをいかに扱うかで変わっていくだろう。
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