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ビジュアルレビューマガジン

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電子写真集 勝又公仁彦『Hotel's Window』出版準備中!

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OSAKA PHOTO WEEKの一環として、明日から8/8(土)まで橘画廊(大阪)にて、勝又公仁彦の展覧会「Hotel's Window」が開催されます。

橘画廊 Tachibana Gallery | 現代アートのギャラリー。日本のアートを海外にも紹介。

osaka-photo-weeks.org

 

7月31日(金)19:00~20:30には、勝又公仁彦さんと港千尋さん(写真家・映像人類学者、あいちトリエンナーレ2016芸術監督)の対談が開催されます。

この機会に、shadowtimesでは、勝又公仁彦の『Hotel's Window』のシリーズ、26作品をAmazonKindleにて電子写真集として販売する予定にしております。発売は会期中を目指して目下制作中です。

 

7月31日(金)には、デモをお見せできるかもしれませんのでご期待下さい。港千尋さんが寄稿されている「眠れる夜のために」と題された文章から抜粋してご紹介いたします。

 

眺めのよい窓があると、それだけでちょっと得をしたような気になる。それは旅人のささやかな幸せに違いないが、写真家にとってホテルの窓は日々のレッスンと言ってもいいだろう。光によって空間を考え、影によって時間を知覚するのが写真のメチエならば、旅もまたひとつの授業である。見知らぬ土地に向かって開いた窓は、旅という名の教室にある黒板のようなものだ。

 

空間はいつもとは違うように切り取られ、大気と地形がその土地特有の遠近感をつくり出す。同じ場所に建てられていても、窓の位置や大きさだけで、宿泊の経験は違ったものになるだろう。すぐれたホテル建築は、窓枠の数ミリにこだわるものである。窓からの眺めに合わせてベッドの高さを微妙に変えていたのは、ジャン・ヌーヴェルだっただろうか。いずれにしても、透明な黒板を通して、わたしたちは景観について多くを学ぶのだ。

 

その窓を通して入る光は、ここしばらくの間に大きく変わってきた。街並みは昔と同じように見えても、夜になると変化が現れる。おそらくそれは照明のせいで、たとえばLEDの光が急速に増えてきたために、照らしだされる都市の表情が違って見えるのだ。その変化を誰よりも克明に記録してきたのが、他ならぬ本書の著者である。おそらくその仕事の全体は、いつか「夜の光のアーカイヴ」と呼ばれるようになるだろう。(続く)