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縦で撮るか横で撮るか?「写真と映像の縦横問題」三木学

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写真が誕生したとき、縦横比がある場合、縦向きと横向きのどちらが主流だっただろうか?肖像写真が中心のときは、縦向きが主流だったに違いない。風景写真は横向きが主流だっただろう。

 

かつてロールフィルムカメラの誕生は、映画用のカメラの露出チェックのためだとされている。映画のフィルムとカメラのフィルムは同じサイズだった。しかし、ロールフィルムカメラは、映画から独立し、複数枚撮影できるカメラとして別の発展を遂げた。また、雑誌メディアの隆盛により、縦向きの写真は重宝されるようになった。

 

しかし、写真から映像が発明されたときから、縦向きの映像が主流になったときはおそらくないだろう。そもそも縦向きに撮影する映像用のカメラがない。縦長のビデオカメラであったとしても、モニターが開いて、横向きの映像が確認できるようになっていた。縦向きに撮影したとしたら、テレビで見たら「縦横反転した映像」が映るに過ぎない。

 

しかし、スマホが発明されてから(つまりほんの10年の間に)、映像撮影は縦向きが主流になっているという。

自分自身が撮影する際には、男性56.5%、女性65.7%が「タテ向き」で撮影。年代別では、20代67.9%、30代64.8%、40代55.6%、50代50.7%となっており、若年層になるほど「タテ向き」の傾向が高かった。

「タテ向き」に最適化された動画については「片手で動画視聴できる(操作しやすい、見やすい)」といったメリットをあげる人が多かった。そのほか「ヨコにするのが面倒」「スマホを横に傾けなくてもいい」「動画を再生する時、画面を大きく表示できる」といった意見が見られた。

スマホ動画、撮影は「タテ向き」が主流……若年層ほどタテ向きで撮影 - エキサイトニュース

 

スマホは、縦で使うのが一般的なので、撮影するのも縦の方が使いやすい。縦向き画面で視聴することもできる。横向き画面で視聴したとしても、縦向きの画面比で見ることが可能だ。最近では、視聴者提供の映像がよくテレビでも流れるが、縦向きで撮影される映像が多いことに気付く。その場合は、縦に細長いので、両端は黒くなっている。

 

もしこのまま縦向きの映像が増えたとしたら、縦向き映像のモニターが登場するかもしれない。縦向き映像のコンテンツが登場する日も近いだろう。映像史の中で、あまり指摘されないことだが、映像の縦横問題というのは根源的なテーマである。デバイスが革新していく中で、映像が縦向きか、横向きかは、揺れ動いているといえる。本のようなダブルウィンドウのメディアから、タブレットのようなワンウィンドウに替わることも大きな影響があるだろう。縦向きならではの映像表現がこれから出てくることは間違いないが、それはどのようなものなのか。興味は尽きない。