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創造性と部屋の乱雑さ「イノベーションとカイゼン」三木学

時評

www.huffingtonpost.jp

 

最近、ネットでは創造性と部屋の乱雑さが話題となることが多い。概ね、結論はこうだ。天才と言われた人々の部屋は総じて汚かった。例えば、スティーブ・ジョブズ、アルベルト・アインシュタイン、マーク・トウェイン、そして、近年のネットサービスにおいても、Facebook創始者、ザッカーバーグ、PayPalの共同創業者、CTOのマックス・レヴチン、ザッポスのCEO、トニー・シェイなどのデスクも、整理されているとは言い難い。

 

天才の机は散らかっていた! 混沌とした環境でこそ創造性は発揮される | ライフハッカー[日本版]

歴代の天才たちも…デキる人ほど机が散らかっていた - NAVER まとめ

 

ミネソタ大学では、部屋の整理度合いと創造性の相関性について研究が行われ、結果的には適度に乱雑な方が創造性が高くなるという結果が出ている。また、エリック・アブラハムソン氏とデイビッド・H・フリーマン氏によって、『A Perfect Mess: The Hidden Benefits of Disorder(無秩序は素晴らしい:片付けられないことの知られざるメリット)』という、無秩序な部屋のメリットについて書籍も書かれているという。

片づけられない派の大勝利!? 散らかったオフィスのほうが創造力を発揮できるらしい | ロケットニュース24

 

もちろん、創造性を発揮する裏で、アスペルガー症候群やADHDのような発達障害が潜んでいる場合もある。しかし、今までは、部屋が汚いことはだらしない、ということとイコールであり、ポジティブな評価はなかったといってよいだろう。特に日本においては、その傾向はもう少し強いかもしれない。

「片付けられない」「汚部屋」「ゴミ屋敷」はADHDやアスペルガーなど発達障害の場合もあります - NAVER まとめ

 

個人的に観察した中でも、今まで才能のある、文筆家や研究者、芸術家の部屋や机が整理されているところをほとんど見たことがない。理由は簡単である。創造性を発揮しようとすれば、必然的に部屋が整理された状態を保つのは難しい。様々な書籍や資料を本棚から、何度も出し入れし、資料を見回しているうちに、整理するのは難しくなる。創造の分量が多いほど、その交通量は増える。そして、余計に整理は後回しになり、次の創造へ向かうことになる。

 

つまり、クリエイティブな人間にとっては、創造の量と質が最重要であり、整理というのは、創造するために最低限度必要であるが、それが目的ではないからである。もし整理することを重視するならば、何もしなければよいのである。そうすれば部屋や乱雑になることはない。今年流行語になった?必要最低限度のモノしか持たないミニマリストなどその最たるものだろう。「断捨離」によって、創造性がなくなったら身もふたもない。

 

もちろん、空間の大きさとモノの多さが合ってないという問題はある。しかし、クリエイティブな人間はどれだけ空間が大きくなっても、それ以上の創造性を発揮するために、部屋は乱雑になっていくだろう。

 

逆に、空間を徹底的に整理していくことで、生産性を高めるという方向もある。いわゆる「カイゼン」といわれるトヨタのなどが採用してる、工場などにおいて無駄をなくしていく方法である。トヨタはそれで世界一の自動車メーカーにのし上がり、多くのメーカーや工場にカイゼンは取り入れられている。しかし、それはすでに車を作る工程など、ある程度フレームが決まっている仕事に対して有効であるということである。

 

アップル、Google、Facebookなど、アメリカを代表するIT企業がやっていることは、今までになかったサービスを生み出すことであり、俗にイノベーションと言われることである。イノベーションとカイゼンは似ているようで対極にある。イノベーションは既存にない価値を生み出し、カイゼンは既存にある価値を最大限に高める方法だからだ。カイゼンだけを追求してる限り、生産性は高まっても、イノベーションは生まれない。

 

10年~20年後の世界において、クリエイティブな職業か医師、保育士、介護士のような対人の職業しか残らないと言われている現在において、いかにクリエイティブな人間を作り出せるかは、国の将来を左右することである。ジョブズを育成できる環境かそうではないかはかなり大きい。

 

だからといってカイゼンが悪いわけではないが、部屋の乱雑さの問題を考えるとき、どれだけの質と量の創造をしているかを見ないと、空間の価値も判断できないと考えなければならないだろう。クリエイティブな人間は、乱雑といってもそこにある程度の見えない秩序があるはずであり、創造性のパフォーマンスが落ちない程度の最低限度の整理はしていると考えた方がよいだろう。それは見た目では推し量ることはできないのだから。

 

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