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武田陽介|Yosuke TAKEDA 《Stay Gold》

今回は、様々な光の現象に着目し、クールな視線と洗練された構図で日常を切り取るストレート写真で知られている注目の写真家、武田陽介さんのスライドショー作品をご紹介します。

武田さんは、代表作《Stay Gold》を元に、自分の鼓動のBPMを測定し、ハードビートに合わせて、スライドショーを展開しています。

ハートビートに合わすことによって、「凍れる時間」「凍れるメディウム」「凍れる身体」である写真を、今までにない方法で「蘇生」していると言えます。

武田さんの光の現われを観察する冷徹な視線に、ビートによって身体の鼓動と熱さが伝わり、身体の延長としてのカメラと、人間の知覚と分離したメディウムとしての写真がつながるとともに「再生」し、新たな知覚を促しています。

写真、ビートともに、デジタル時代のスライドショーにふさわしい洗練された作品だと思います。
是非ご鑑賞ください。

shadowtimes編集部

武田陽介|Yosuke TAKEDA 《Stay Gold》

武田陽介(写真家、アーティスト)

http://yosuketakeda.com/

ストレート・フォトグラフィーでありながら、抽象絵画のような構図や平面性を兼ね備え、それゆえ日常の雑景からやや遊離した雰囲気を湛えている作品で知られる。発表されている作品の全てがデジタルカメラによって撮影されたものであるが、それらは暗室における「光を定着させる」という経験をふまえて制作されており、写真の普遍的原理である「光の現れ」を追求している。被写体の多様性は、そのまま「光の現れ」の多様性であり、それぞれの作品、あるいはそれらの組み合わせには光の反響と増幅、あるいは写真というメディアを俯瞰視する類の特徴を見つけることができる。光学現象の1つである「フレア」を被写体とするシリーズが特に知られており、これらは光を捉える「手段」であるレンズの存在も含めてイメージに定着させるという試みである。

 

プロフィール
1982年愛知県生まれ。2005年同志社大学文学部哲学科卒業。近年の個展に、「キャンセル」 3331 GALLERY(東京、2012年)、「Stay Gold」 タカ・イシイギャラリー(東京、2014年)、「Arise」 タカ・イシイギャラリー(東京、2016年)など。サンフランシスコ近代美術館、スペイン銀行に作品が所蔵されている。

 

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