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鈴木崇|Takashi SUZUKI 《Fictum-sound and vision》

今回は、台所用のスポンジを使って、即興的なアレンジで何種類もの仮の構築物を作り、その生成のアルゴリズムを示した「BAU」、影のフォルムを浮き彫りにし、物体のように捉える「ARCA」などの作品集の出版で注目されている鈴木崇さんのスライドショー作品をご紹介します。

鈴木崇さんは、現在、東京国立近代美術館で展覧会が開催され、注目されているトーマス・ルフが教鞭を務めていたデュッセルドルフ芸術アカデミーで、ルフに師事するとともに、トーマス・シュトゥルートのアシスタントを務めていた経歴があり、日本では珍しいベッヒャー・シューレの系譜に直接的に連なるアーティストでもあります。

もちろん、鈴木崇さん独自の展開がされており、写真のメディウムが生み出す新しい認知のメカニズムを、作品が生成されるアルゴリズムそのものを視覚的に示すことで表現しようとしているといえます。

今回、スライドショー作品として使用された《Fictum》(ラテン語で虚構の意)は、「BAU」などと問題意識が通底しており、都市における建築と建築の組み合わせが、ある種、即興的に生成される過程を捉え、そのダイナミズムとアルゴリズムが提示されています。そして、隣り合う作品は新たな建築の組み合わせとなり、連続性と非連続性が生み出され、無数のイメージの生成を繰り返します。

鈴木さんは、《Fictum》をスライドショーにするにあたり、1つのイメージから一つの音楽の小節を生み出すという、PhotoMusicの特性を活かし、作品の制作スタイルを音楽に援用すると同時に、音楽の一部としてイメージを作りだすという逆転の発想の元に制作されています。
結果的に、スライドショー自体が音楽として完成度が高く、同時に重層的なアルゴリズムが体感できるものとなっています。
是非ご鑑賞ください。

 

shadowtimes編集部


鈴木崇|Takashi SUZUKI  《Fictum - sound and vision》

 

鈴木崇(アーティスト)

http://takashisuzuki.com/

写真メディアを介在させることによって、日常的に目にするものを普段の知覚とは異なる見え方へと再定義し直し、別の認識を与える作品を制作している。

代表作に、食器などを洗うスポンジを即興的に構成し、何百もの幾何学的なイメージを撮影したシリーズ《BAU》や、現象である「影」を構造物のようにイメージさせるシリーズ《ARCA》、一部を除きイメージのほぼ全体をアウトフォーカスで撮影した風景のシリーズ《Altus》などがある。

今回のスライドショーでは、新たなシリーズ《Fictum》のモチーフとして撮影された日本の都市のイメージを、音源のセグメントとして使用している。

 

プロフィール

The Art Institute of Boston写真学科卒業後、デュッセルドルフ芸術アカデミーのトーマス・ルフクラス研究生ならびに、トーマス・シュトゥルートのアシスタントとしてドイツに滞在。主な展覧会に、「写真の現在3:臨界をめぐる6つの試論」東京国立近代美術館(東京、2006年)、「これからの写真」愛知県美術館(愛知、2014年)等。作品集「kontrapunkt」をドイツのTRADEMARK PUBLISHINGより、「BAU」、「ARCA」をIMA Photobooksより刊行。

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http://photomusic.jp/

 

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田中和人|Kazuhito TANAKA 《GOLD SEES BLUE》


田中和人|Kazuhito TANAKA 《GOLD SEES BLUE》

 

田中和人(写真家、アーティスト)

http://kazuhitotanaka.tumblr.com/

写真により色彩、形態、視覚を問い直す数多くの抽象作品シリーズを発表している。「写真と絵画や彫刻との関係」、そして「抽象と具象の境界」を探求する表現方法で知られている。モダニズム〜フォーマリズムの成果を批評的に継承し、写真というメディウム潜在的な可能性を探ることで、今日的な視覚表現を独自のアプローチにより生み出している。 この度、カメラの前に金箔をかざし、金箔の透過光である青の光によって撮影することで、意図的にピクトリアリズムとの接近を図りながら、写真としての光に向き合ったシリーズ《GOLD SEES BLUE 》(2009)、また、画家クリフォード・スティルへのオマージュであり、スキャナー上で複数の色紙を移動させたスキャンデータを元に制作したシリーズ《after still》(2011)を元に2種類のスライドショーを制作した。

 

プロフィール

1973年埼玉県生まれ。1996年明治大学商学部卒業後、会社勤務を経て、渡米。2004年School of VISUAL ARTS(ニューヨーク)卒業。主な個展に「pLastic_fLowers」Maki Fine Arts(東京、2015年)など。2011年TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARDグランプリ受賞。コレクションにThe amana collectionがある。

 

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澄毅|Takeshi SUMI 《comme de vent》


澄毅|Takeshi SUMI 《comme de vent》

澄毅(写真家、アーティスト)

http://www.sumi-takeshi.com/
自分の家族や友人が写る写真に無数の穴をあけ、逆光で再撮影することで、記憶を光で呼び起したり再創造する作品を制作。家族や友人の身体から光が漏れる写真は、今にも光によって溶けてしまいそうな危うさを感じさせる。作品を創造する一連のプロセスは、澄の伯父が広島に落とされた原爆の被爆者であることも関係している。近年は、パリに制作拠点を移住。写真に無数のスリットを入れて、髪の毛のような波打つ模様を作り、光によって触覚が喚起されるような作品を制作している。

 

プロフィール
1981年京都生まれ。2004年明治大学文学部卒、2009年多摩美術大学美術学部情報デザイン学科卒。写真集「空に泳ぐ」(リブロアルテ、2012年)。近年の展示に「lumiére et vous」Galerie Grand E'terna(パリ、2015年)

 

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