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ビジュアルレビューマガジン

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山内亮二|Ryouji YAMAUCHI 《Quiet River, Seoul 》

今回は、写真家の山内亮二さんのスライドショー作品をご紹介します。
山内さんは、急劇にグローバル化し、均質化していく主にアジア圏の都市を遊歩しながら、そこに潜んでいる歴史や記憶、風土、風俗が現われる様子を、採集するようにスナップ写真を撮影しています。
今回、韓国、ソウルの都市を舞台にした作品を使って、雄大な漢江の流れを背景に、マルチスクリーンのような技法で、都市の様々な景色が表れては消えていくようなスライドショー作品を制作して頂きました。
ソフトにはマルチスクリーンの機能はついていませんが、画像処理ソフトで写真を重ね合わせ、少しずつずらしていくという画期的な技法でそれらの効果を実現しています。
それによって、音楽的にも、少しずつ楽曲が変わるという連続性が生まれ、川を見ながら記憶が浮かんでは消えていく、というような表現となっており、スライドショーとしても完成度が高い作品です。
是非ご鑑賞ください。

shadowtimes編集部


山内亮二|Ryouji YAMAUCHI 《Quiet River, Seou》

山内亮二(写真家)

http://www.ryojiyamauchi.com/

主にアジア圏の国々を訪問して、グローバリズムの中で均質化していく都市の根底に隠れている土地や住民の記憶が現れる瞬間をスナップショットで撮影することで知られる。何枚も撮影した写真の中からその瞬間を選び抜き、展示することで都市の記憶を呼び起こす。近年では、世界各地で生成される都市の普遍性や人々の中にある都市像、それを生み出す人間の創造性に着目している。

 

プロフィール
1986年岐阜県生まれ。2011年名古屋学芸大学大学院メディア造形研究科終了。主な展覧会に「Steidl Book Award Japan」Tokyo Art Book Fair(東京、2016年)、「Musing in the Land of Smiles」新宿・大阪ニコンサロン(東京・大阪、2015年)、「Quiet River, Seoul」コニカミノルタプラザ(東京、2013年)など。2015年ニコンサロンJuna21、2013年コニカミノルタフォトプレミオ入賞。

 

Powerd by PhotoMuisc
http://photomusic.jp/

 

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中屋敷智生|Tomonori NAKAYASHIKI 《visual X music》

今回は、画家・アーティストの中屋敷智生さんのスライドショー作品をご紹介します。

中屋敷さんは、色彩豊かで幻想的な具象画を描くことで知れています。一見すると、色彩に対する豊かな感性を感じることができますが、実は色弱者のため見えていない色がかなりあります。
しかし、見分けのつかない色に関しても、色の名前と、見えている色からの想像で描いています。画面には少し他の画家とは違う不思議な統一感がありますが、色ではなくコントラストの識別を駆使して、全体のトーンを合わせているそうです。

中屋敷さんの絵画は、とても魅力的なので、見えていない色があることは驚きですが、色から音楽に変換するソフトを使えば、新たな識別や創造性が生まれるのではないか、ということでスライドショー作品を委嘱しました。今回、スライドショー作品を委嘱した唯一の画家になります。

初期に制作したスライドショーは、協和音を使ったものでしたが、今回、不協和音を使い、少し不穏なイメージを与えています。しかし、波打つような中屋敷さんの絵画のタッチと合っており、中屋敷さん絵画のある種の読解にもなっているようにも思えます。
是非ご鑑賞ください。

shadowtimes編集部

 


中屋敷智生|Tomonori NAKAYASHIKI 《visual X music》

中屋敷智生(画家、アーティスト)

http://thomyashiki.tumblr.com/

抒情的で幻想的な風景とそれを断ち切るような大胆な虹の絵画で知られる。特に色彩の使い方に特徴がある。積極的に公表しているわけではないが、赤緑色盲と言われる、赤と緑の錐体の感度が重なることで分光がされにくく、主に赤と緑の区別が困難な色弱者である。しかし、絵の具の名前と想像によって、本来識別できないはずの鮮やかで豊富な色彩の絵画を描く。見えない絵を描いているともいえ、虹は見えることの象徴的なイコンになっている。かなりの色相が茶色に見えるはずであるが、画面のコントラストで配色のバランスを調整しているため、たくさんの色をつかっていても不思議と統一感のある画面になっている。虹の7色は見分けられないが、音楽に変換されたとき、その違いは聴覚で把握できるため、新たな色の認識が生まれるかもしれない。

 

プロフィール
1977年大阪府生まれ。京都精華大学美術学部造形学科洋画分野卒業。主な個展に、「Surg」KOKI ARTS(2014年、東京)、「Big Day Coming」Gallery PARC(2012年、京都)、主なグループ展に「Dribble」2kwギャラリー(大阪、2016年)、「アブストラと12人の芸術家―HER NAME IS ABSTRA-」大同倉庫(京都、2012年)など。とよた美術展’07審査員賞。

 

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http://photomusic.jp/

 

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鈴木崇|Takashi SUZUKI  《Fictum -beat and vision》

今回は、台所用のスポンジを使って、即興的なアレンジで何種類もの仮の構築物を作り、その生成のアルゴリズムを示した「BAU」、影のフォルムを浮き彫りにし、物体のように捉える「ARCA」などの作品集の出版で注目されている鈴木崇さんのスライドショー作品をご紹介します。

鈴木崇さんは、現在、東京国立近代美術館で展覧会が開催され、注目されているトーマス・ルフが教鞭を務めていたデュッセルドルフ芸術アカデミーで、ルフに師事するとともに、トーマス・シュトゥルートのアシスタントを務めていた経歴があり、日本では珍しいベッヒャー・シューレの系譜に直接的に連なるアーティストでもあります。

もちろん、鈴木崇さん独自の展開がされており、写真のメディウムが生み出す新しい認知のメカニズムを、作品が生成されるアルゴリズムそのものを視覚的に示すことで表現しようとしているといえます。

今回、スライドショー作品として使用された《Fictum》(ラテン語で虚構の意)は、「BAU」などと問題意識が通底しており、都市における建築と建築の組み合わせが、ある種、即興的に生成される過程を捉え、そのダイナミズムとアルゴリズムが提示されています。そして、隣り合う作品は新たな建築の組み合わせとなり、連続性と非連続性が生み出され、無数のイメージの生成を繰り返します。

鈴木さんは、《Fictum》をスライドショーにするにあたり、1つのイメージから一つの音楽の小節を生み出すという、PhotoMusicの
特性を活かし、作品の制作スタイルを音楽に援用すると同時に、音楽の一部としてイメージを作りだすという逆転の発想の元に制作されています。
結果的に、スライドショー自体が音楽として完成度が高く、同時に重層的なアルゴリズムが体感できるものとなっています。
是非ご鑑賞ください。

shadowtimes編集部

 


鈴木崇|Takashi SUZUKI  《Fictum -beat and vision》

鈴木崇(アーティスト)

http://takashisuzuki.com/

写真メディアを介在させることによって、日常的に目にするものを普段の知覚とは異なる見え方へと再定義し直し、別の認識を与える作品を制作している。

代表作に、食器などを洗うスポンジを即興的に構成し、何百もの幾何学的なイメージを撮影したシリーズ《BAU》や、現象である「影」を構造物のようにイメージさせるシリーズ《ARCA》、一部を除きイメージのほぼ全体をアウトフォーカスで撮影した風景のシリーズ《Altus》などがある。

今回のスライドショーでは、新たなシリーズ《Fictum》のモチーフとして撮影された日本の都市のイメージを、音源のセグメントとして使用している。

 

プロフィール

The Art Institute of Boston写真学科卒業後、デュッセルドルフ芸術アカデミーのトーマス・ルフクラス研究生ならびに、トーマス・シュトゥルートのアシスタントとしてドイツに滞在。主な展覧会に、「写真の現在3:臨界をめぐる6つの試論」東京国立近代美術館(東京、2006年)、「これからの写真」愛知県美術館(愛知、2014年)等。作品集「kontrapunkt」をドイツのTRADEMARK PUBLISHINGより、「BAU」、「ARCA」をIMA Photobooksより刊行。

 

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