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ビジュアルレビューマガジン

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知覚と認識の余白-鈴木里理策写真展「意識の流れ」三木学

「人はたいてい写真に写っている対象が何かわかると、見るのをやめてしまいます。無意識のうちに写っている内容を言葉に置き換えて、たとえば「熊野の風景だ」「桜だ」「雪だ」という具合に対象を認識したとたん、それ以上見ようとはしません。でも見るとい…

大和絵・琳派・デザインそして自然「20世紀琳派田中一光展」三木学

www.dnp.co.jp 「今のデザインはスピードが早く、頭でっかちでつまらないマーケティング優先。すぐゴミになる。でも琳派の作品はどうだろう。時を超えて丁寧に時間をかけ、計算して構成されたものは、その古びた質も含めて楽しめる。いまのデザインが一番気…

「サプール」出版の反響とインサイドストーリー『SAPEURS - Gentlemen of Bacongo』三木学

SAPEURS - Gentlemen of Bacongo 作者: Daniele Tamagni 出版社/メーカー: 青幻舎 発売日: 2015/06/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (3件) を見る 昨日、青幻舎の安田洋子さんとお話する機会があり、今話題の『SAPEURS(サプール…

インタフェース特許とデザイン「iPodクイックホイール特許権侵害」三木学

www.sankei.com 携帯音楽プレーヤーiPodのユーザーインターフェースであるクイックホイールが特許権侵害をしているとして、山梨県の日本人男性がアップル日本法人に100億円の損害賠償請求をしていた。そして、最高裁が上告を退ける形で、特許権侵害を認め3億…

「未だ見ぬ景色を求めて」山内 亮二

身体はすごく疲弊していた。冷房のよく効いた観光用の少し広々としたバスの車内に乗客は数人。僕は夢うつつに窓の外に流れる夕暮れの景色を眺めていた。 バンコクでの滞在も10日ほどが経ち、この日は少し北上してアユタヤの世界遺産を日帰りで周ってきた。バ…

リオ五輪エンブレム類似騒動と3Dデザイン「東京オリンピックとデザインの行方(8)」三木学

megabrasil.jp 東京五輪エンブレムが盗作騒動の末に白紙撤回された。プレゼン資料や他社の仕事において盗用があったのは確実だが、エンブレム自体が盗作かどうかは闇の中である。裁判をしても、多くの弁護士の予想通り少なくとも著作権侵害と判定される可能…

勝又公仁彦写真集『Hotel Windows』発売開始!

Hotel Windows 作者: 勝又公仁彦 出版社/メーカー: シャドウタイムズ 発売日: 2015/09/08 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 以前からお伝えしえおりました、勝又公仁彦さんのKindle版、電子写真集『Hotel Windows』の発売が開始されました。先…

感度の進化と露出の新しい尺度「フィルムとデジタル-感度の拡張」三木学

www.yomiuri.co.jp 富士フィルムが1976年に発売した、カラーネガフィルム「フジカラー F-II400」が、国立科学博物館により、「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」に登録されたという。 未来技術遺産なるものがあることを今回始めて知ったのだが、科…

コミュニケーションの分断と拘束のメディア「電話の歴史」三木学

news.livedoor.com ヨルタモリで、電話及び電話をする人に対しての不信感について持論を述べていたタモリですが、僕もそれについては昔からそうだと思っていました。 特にこれは携帯電話が登場してからの話で、相手の状況がわからないままで、間に人を通さず…

黒は好かれているのか、嫌われているのか?「黒のイメージ」三木学

www.fashionsnap.com 色彩の嗜好調査の歴史は結構長い。20世紀初頭から色彩嗜好調査はあるようだが、統計的に分析されるようになったのは戦後のことである。 ある程度、普遍的に好まれる色もあるが、大きく変化する色もある。特に青と赤は、国際的に好まれる…

創作はどこへいくのか?「カメラの自動化の行方」三木学

【カメラ革命】MITが「絶対に白飛びしない」技術を開発。もう絞りや露出に悩されない日々へ:DDN JAPAN MITが白とびしない技術を開発しているという。これはカメラにおける適正露出という根本命題に手を突っ込んだということに等しい。カメラは、絞り、シャッ…

新しい地域発信の可能性「ブロガー・イン・レジデンスは普及するか?」三木学

ブロガーインレジデンスnomadoma-daisen.com 2000年代に入ってから、地方での芸術祭が盛んだ。その大きなきっかけは、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレと、瀬戸内国際芸術祭だろう。ともにアートプロデューサーの北川フラム氏の下、山と海(島々)…

近眼の世界の共有「フィリップ・バーロウ」三木学

近視の人には世界がこんな風に見えている。を表現したフォトアート作品 : カラパイアkarapaia.livedoor.biz 先日、近眼写真というジャンルがあってもいいのではないか、と書いたのだが、検索しているとすでに取り組んでいる人がいました。 まあ、同じことを…

レンズによる新しい色彩「ボケ混色と写真」三木学

昨日、わざとピントをずらすことによる、近眼写真をご紹介した。思いのほか賛同者が多かった?ので、手法は近いが、新しい色彩写真の試みを紹介したい。 最近は、特にアートと写真が接近したのか、スナップ写真が肖像権や著作権が厳しくなり、撮影しにくくな…

心地よいボケを楽しむ「近眼写真シリーズ」三木学

ボケていることの自然「近眼と写真」三木学

僕は結構、目が良くない方だ。いわゆる近眼であるし、乱視も少しはいっている。0.0?だったと思うが、正確には覚えていない。しかし、日本人は特に目が悪い人が多く、それは日本語の複雑さに起因があるという説を聞いたことがあるが定かではない。 かつて外…

プレゼン資料と著作権-内部資料とはどこまでか?「東京オリンピックとデザインの行方(7)」三木学

【五輪エンブレム問題】展示例の写真、無断転用? 佐野氏側が制作www.sankei.com ついに、東京五輪エンブレムが、約1カ月の騒動の果てに、撤回されることになった。再度公募し、新しいデザインを決定するとのことだ。 その決め手となったのは、主に2点である…

日本人の身体と踊りの原風景「阿波踊りに残る日本人の身体技法」三木学

阿波おどり|放送予定|www.nhk.or.jp 徳島市:阿波おどり よさこい祭りに引き続き、昨日はNHKBSで徳島の阿波踊りの特集がやっていたので、思わず見てしまった。実は、親戚が徳島にいるので、一度だけ生の阿波踊りを現地で見たことがある。観覧席のあるメイ…

電子書籍紹介という新しい市場開拓のパイオニア-きんどうZON『Kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話』三木学

Kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話 作者: きんどう zon 出版社/メーカー: きんどう 発売日: 2015/08/29 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る きんどうkindou.info 電子書籍元年と言われてから数年が経つが、…

「建築家なしの建築」と「建築なしの建築家」の時代『だれも知らない建築のはなし』三木学

映画「だれも知らない建築のはなし: Inside Architecture -A Challenge to Japanese Society-」公式サイト(監督 石山友美)ia-document.com 今年は、日本のアートドキュメンタリー映画の当たり年といっていいだろう。まず写真家、畠山直哉が実家のある陸前高…

京都を守る見えないネットワーク-谷本 研・中村裕太「タイルとホコラとツーリズム season2《こちら地蔵本準備室》」展@Gallery PARC

谷本研くん。 民俗学資料館風に展示されたホコラの断片。 30日(日)まで。本日のトークセッションは5時から。 タイトルが長くて分かりにくい人がいるかもしれないが、テレビドラマ風にseason2とついているように、今年は2回目である。昨年も同じ時期に開催…

結局エンブレムとは何なのか?「紋章、家紋、エンブレム-東京オリンピックとデザインの行方(6)」三木学

紋章の歴史―ヨーロッパの色とかたち (「知の再発見」双書) 作者: ミシェルパストゥロー,松村剛,Michel Pastoureau,松村恵理 出版社/メーカー: 創元社 発売日: 1997/09 メディア: 単行本 クリック: 18回 この商品を含むブログ (10件) を見る 東京五輪エンブレ…

進化し続ける現代の祭り「よさこい祭りとその系譜」三木学

よさこい祭りサウンドトラック2007 アーティスト: 雑音軒,山岡修一,堀麻夫,アイリーン・フォーリーン,三谷章一,野瀬眞誠,平岩嘉信,梅田修平,村田博久,浜田善久,下元博司 出版社/メーカー: よさこいサウンドLLP 発売日: 2008/08/08 メディア: CD クリック: 32…

染料の中の染料と日本「藍と紅」三木学

(C)Manabu Miki 過去の記事で、藍と紅という、代表的な染料の分布を分析したので、まとめて掲載しておこう。 紅の物語-染色と女性の成長『おもひでぽろぽろ』三木学 - shadowtimesβshadowtimes.hatenablog.com 「ジャパンブルーの起源」三木学 - shadowti…

紅の物語-染色と女性の成長『おもひでぽろぽろ』三木学

おもひでぽろぽろ [DVD] 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 発売日: 2015/03/18 メディア: DVD この商品を含むブログ (4件) を見る 今や夏休み恒例のスタジオジブリ制作のアニメーション映画が、毎週金曜日にやっている。先週は『お…

バサラカワイイ!風流・婆娑羅・傾奇との融合「増田セバスチャンとよさこい祭り(高知)」三木学

www.youtube.com よさこい祭りとは 先日、きゃりーぱみゅぱみゅの「PONPONPON」PVの美術などで知られ、原宿kawaii文化を牽引するアートディレクター増田セバスチャン氏にお会いしたとき、高知の「よさこい祭り」のことを紹介して頂いた。「よさこい」と言え…

グローバリズムの罠と日本語の可能性「東京オリンピックとデザインの行方(5)」三木学

【五輪エンブレム問題】佐野氏ロゴ「酷似」 五輪、動植物園…対応追われるwww.sankei.com 東京五輪エンブレムが発表されてから様々な騒動が起きて収まる気配がない。元々は、アートディレクターの佐野研二郎氏がデザインしたエンブレムについて、ベルギー在住…

琳派の起源への遡行と立体による新たな再生「PANTHEON-神々の饗宴-」三木学

www.youtube.com 琳派400年記念と現在のアート&デザイン 今年は、琳派400年記念ということで、京都を中心に様々な場所で琳派がらみの展覧会やイベントが開催されている。琳派400年記念といっても、琳派は土佐派のような朝廷の絵所や、狩野派のような幕府の…

会期残りわずか!今年最高の国際美術展(かもしれない)「堂島ビエンナーレ2015」三木学

池田亮司《date.tecuture》2015 <a href="http://togetter.com/li/852181?page=1" data-mce-href="http://togetter.com/li/852181?page=1">【現代アート展】「堂島リバービエンナーレ2015」「Take Me To The River 潮流と流通の同時代…

引き裂かれた見ることへの欲望と想像力「澄毅-光が生む見えない余白と新しい質感」三木学

©Takeshi SUMI 先日、パリ在住のアーティスト、澄毅(すみ・たけし)さんが訪ねて来てくださったのでその作品を紹介したい。澄毅さんは、明治大学でドイツ文学を専攻した後、多摩美術大学の情報デザイン学科を卒業した。主に写真を使ったアーティストである…